教材を整理していると百人一首が出てきまして、ふと昔のお子さんの事を思い出しました。
そのお子さんは年中の途中からお父様の転勤でこちらにいらして、卒園までいらっしゃり小学校クラスにも来ていらっしゃいました。
神戸のモンテッソーリの幼稚園からの転園でしたので、クラスに馴染むのも早かったと記憶しています。
初めての登園の日、バスをご希望でお迎えに上がって乗車中、百人一首が始まるとびっくりしたように周りをきょろきょろしだし、驚いた様子でした。
その後毎日、バスの中では百人一首を行っていましたが、ある日から急にその子が百人一首をみんなと同じようにしゃべりだし、ついにその中の誰よりもしっかりと覚えてしましました。
お母さまに『百人一首覚えましたね』と言うと、初日の登園から帰ってきてすぐに『百人一首を買ってくれ』とせがまれその日のうちに買いに行ったそうです。
家では毎日百人一首のカードを見てはぶつぶつ言っていたそうです。
約1か月半で100首全て作者まで覚えてしまいました。
その子どもと百人一首を知った時期があっていたのだと思います。又周りの子ども達も楽しくやっていたことでその子の敏感期が出ることを助けたとも言えますね。
バスの中の百人一首はみんながやらなくてはいけないものではありません。
やりたくない子は無理にさせません。
ただ、そのバスの中にいるだけで覚えてしまうことはあります。(門前の小僧習わぬ経を読む)
百人一首はとても素晴らしい歌で、日本人の心がうかがえます。
小さい時はこの歌の意味が解らなくても、五七五七七という言葉の流れ方や、美しい日本語に親しむだけでも十分です。
大きくなって意味を知りたければ自分で探していくでしょう。
先のお子さんのように興味を持てば自分から進んで覚えたいと思えるのがとても良いと思います。
『何番は何?』とこちらが聞くと正確にその歌と作者を言えるお子さんもいますね。
ただ単に覚えることが目的ではなく、自分なりの覚え方を知ると言う事がこの百人一首の目的でもあります。
百人一首はしばらくやらないと忘れていきます。
でも心の中に、『おぼえた』『たのしかった』と良い印象が残っていれば、正解と言えるのではないでしょうか。
お子さんによって価値観はまちまちです。
百人一首に限らず、何かを楽しんでやれると言う事は素晴らしいですね。
何か一つでも『やり切った!』と実感できた子どもは必ず後に続きます。