モンテッソーリ教育においての日常生活の練習

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モンテッソーリ教育においての日常生活の練習

日常生活の練習

歩く、物を運ぶ、掛ける外す、掃除、洗濯、絞る、着る脱ぐ、折る、注ぐ、磨く、切る、貼る、縫う、通す、結ぶ、編む、挨拶等考えられるだけの日常動作全てが当てはまります。

日常生活の練習の良いところはお仕事自体が実際の生活に結びついている点です。
そして、繰り返し行えるところがとても良い点です。
前にも書きましたが、繰り返しというキ-ワードが日常生活の基本です。
これによって様々な動きを体得、洗練させていきます。
子どもは自分のやりたいことを行える自由が得られることで心の自由を感じることができます。
又自分で得たものを他のお子さんに教えていくことでよりそのものに対する理解が深まります。
よく自分の知ったことをお母さまに教えたりしますね。これによって自分で確認もしています。
また教えてもらった子は今度はまた下の子に教えていきます。

これが縦割りの良いところですね。

日常生活の練習はやり方がわかりやすい物、見つけやすいのもが多いのも特徴で、またちょっと考えればできる物もたくさんあります。
このような作業を行う中で、しっかり見る・話を聞く・思考力が高まる・集中力を養うなど、たくさんの事を学んでいきます。

もしご家庭で『いつも同じことをしている』と思った方はよく見ていると1回ずつ違うやり方をしていたり、考えながらやっていたりするかもしれませんので、よく観察してあげてください。
もうやめなさいなどと言ってはダメです。


私達が止める場合は、

  • この作業自体がお仕事にならない。
  • これによって自己破壊している。
  • 他人に迷惑をかける

以外は基本的に止めません。

日常生活の練習についてもう少し掘り下げます。

物と自分というキーワードがあります。
これはお仕事で使う物、例えば注ぐお仕事で使うピッチャーやグラスなどの事です。
これらの物は全て割れても良い、しかし美しく奇麗なものにしています。
子どもはまだ手先がそれほど洗練されていない場合に良く落としたりして割ったりします。
これによって『物は壊れる』ことを知ります。
そしてほかのお友達が使えなくなると知ります。
このように知ることで、『大切に使おう』『慎重に運ぼう』という気持ちが芽生えます。
美しく奇麗なものが壊れると子どもはがっかりしますね。わざと壊したりしない限りは決して咎めません。
子どもは自分でわかります。あえて言わないことでより子どもはこのことを胸に刻みます。

物と自分が対峙することで環境の中にある物と自分との関りを考える。
物が壊れるよりこちらのほうが大切ですね。

水をこぼしたら、布巾で拭く。ごみが落ちていたら拾う。汚れていたらきれいにする。
散らかっていたら片付ける、等自然に行える子どもになってほしいですね。

子どもに考える時間を与えることは大切ですね。

物と自分についてのお話しをしました。

単純に教具だけではなく環境にある全ての物、扉、花、もちろん人も含まれています。

環境にあるものすべて大切であるという考え方です。
言葉でいうのは簡単ですが、子どもはしっかりと理解するには時間がかかります。

扉の開け閉めがしっかりとできるようになると、慎重に行動できるようになってきます。

花を生けたり、植物を育てたりすることで、花を美しいと思い、大切に扱うことができるようになったりします。情緒も育ちますね。

他人との挨拶などを通して、自分以外の物(人)とのかかわり方を学んでいくことで、より自分というものを理解していきます。
人と自分は違うけど大切である等、人を尊重する気持ちが芽生えていきます。

物と自分(環境と自分)が対峙することで自己の世界観を形成していきます。

ロールモデルは必要ですね。
多くの場合母親だと思います。
園であれば年長児がこれにあたり、もちろん教師もそうですね。
上手くできないのが当たり前という気持ちで見てあげられるとよいですね。

見本となれるような子どもになってほしいですね。
そのために正しいやり方を見せてあげるのが一番です。

言葉ではなく態度ですね。

子どもは見たまま真似しようとします。

正しいやり方を示してあげること

言葉ではなく態度でというお話をしました。

モンテッソーリ教育では基本的に提供(態度)と言葉がけは同時に行いません。

始めに『見ててね』と言ってから行動(提供)を行います。
これによって見ることに子どもは集中します。
言葉とともに行うとどっちに従えばよいかわからずに注意散漫になります。
『これはこうしてこうしたやるんだよ』と言いながら手を動かすことですね。
年長児ぐらいになるとだいぶわかるようになりますが、
それでも初めてやるお仕事の場合は難しいです。

インファントや年少のお子さんの場合特にそうですね。
ゆっくりとした動作で子どもにわかりやすく見せることで理解しやすくなります。

子どもはやり方を知りたいのです。

例えば家の中で無茶苦茶に散らかしたり、汚したり、物を片さなかったり等、お困りの場合は
『この子はやり方がわからないんだ』ととらえてあげることで、子どものに対して優しい気持ちになれますよね。
『一緒にやろう』と話してやり方を見せてあげてください。
勿論その時の子供の精神状態にもよりますが、お母さまと一緒に何かをやることは子どもにとって楽しいことには違いありません。
正しいやり方を示してあげることはとても重要です。

始めは片付けの9割お母さまがやったとしても、子どもに出来たねと言ってあげることで、少し片づけることを理解すると思います。少しずつ、少しずつ子どもが片付ける割合を増やしていけばよいと思います。
『片付けて奇麗になってうれしい』と子どもが思えるとよいですね。

やり方がわからないのに単に怒られているとしたら、子どもにとっては苦しいだけですよね。

子育ては待ち仕事ですね。
楽しく待てるように各家庭で工夫してみてくださいね。

モンテッソーリ教育の基本は日常生活にあるということをもう少しだけ書いてみます。

線上歩行というお仕事があります。
このお仕事はその名の通り、線の上を歩くお仕事です。
教室の床に白い線があるのを見た方も多いと思います。
この線の上を足のつま先、かかとを交互に合わせながら線から出ないように歩いていきます。
ひまわりでは音楽を流しながらゆっくりと前に歩いている人にぶつからないようにしながら歩きます。

何故このお仕事をするのでしょう?

なぜ子どもはこのお仕事が好きなのでしょう?

それは子どもは線の上を歩きたいのです。
散歩をしているとき子どもはブロック塀の低いところがあるとその上を歩きたがったりしませんか?
これと同じです。


つまりはバランスをとりたい、とれるようになりたいからです。
線の上をゆっくりと歩くことは子どもにとってとても難しいことです。
早く歩いたり、線の上を上手に歩けず、バランスをくずしたりします。
このお仕事が上手にできるようになるとお友達が線上歩行を行っている間、静かに待てるようになります。
お話が聞けるようにもなってきますね。

つまり運動の調整です。

運動は単純に動けばよいのではなく、目的に沿って動くことが運動です。
目的もなく走り回ることは運動とは言いません。
かけっこであれば『よーいドン』の前にかけていってしまってはかけっこになりませんね。

この運動の調整は他のところでも生きてきます。
例えば字を書くのもそうですね。
自分の思った線で書けるように調整する。
お弁当を食べるときにみんなでいただきますするまで待つ。等など
日常生活のすべての部分に含まれています。

たまにこの線上歩行が好きでないというお子様がいます。
大体の場合はまだこのお仕事の面白さに気づいていない。
上手くできないからつまらない。
等があげられます。

大丈夫です。
繰り返し行うことで必ず上手になります。
そして好きになります…

『線上歩行』についてお話ししましたので、『静粛の練習』についても触れておきたいと思います。

線上歩行の後に行う鉄製のトレイにくるみを置くお仕事ですね。
音を立てずにくるみを置いていくのですが、小さい子はまだ手先がうまく仕えない場合は音が出てしまいます。つまり間違いの自己訂正がわかりやすいということですね。

自分で気づくことが大事なのです。

大人も人に言われると『今やろうと思ったのに』『わかってるよ』と思ったりしますよね。
子どもに自分で素直に気づいてもらうということがとても大切です。
自分でうまくできていないことに気づき『どうしたら音を立てずに置けるかな?』と考え、一生懸命にクルミをうまく置こうとしている姿はとてもかわいいです。


又、静かな状態で行っていますので、当然これを行っている子ども以外の子どもも気づきます。
中にはまだこのお仕事の面白さに気づいていない子どもは、クルミを投げ入れたりする場合もあります。
そういう時は気づいている子はみんな教師のほうを見ます。(笑)
教師は大丈夫とただうなずきます。口には出しません。

このお仕事はクルミを置くだけではありません。

参観の時にご覧になったことがあるかもしれませんが、お集まりの時に鳴らす『鈴』もこの『静粛の練習』です。

モンテッソーリ教育の提供には必ず
『直接目的』『間接目的』『間違いの訂正』があります

このお仕事の場合
直接目的
『運動の分析と調整』『完全なる動きの調整』

間接目的
『深い精神性と静けさから作られた真の規律に至る動機付けを与える』

『間違いの訂正』

上に例をあげたクルミをおく練習の通りです。

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